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NaaS(Network as a Service)とは?概念や導入メリット、活用例をわかりやすく解説

近年、働き方の多様化やデジタル化の進展、クラウド利用の拡大により、企業のIT環境は大きな転換期を迎えています。接続先も多様化する中で、企業のネットワーク環境にはこれまで以上に柔軟性と拡張性が求められています。こうした背景から注目されているのが、「NaaS(Network as a Service)」という考え方です。
「OCX(Open Connectivity eXchange)」のようなクラウド型ネットワークサービスを理解するうえでも、NaaSは押さえておきたい考え方の一つです。
本コラムでは、NaaSの基本や注目される背景、導入時のポイントを分かりやすくご紹介します。
NaaS(Network as a Service)とは
NaaSとは、これまで自社で機器を購入して構築・運用してきた「ネットワーク」というインフラを、クラウド経由で必要な分だけサービスとして利用する形態を指します。
ネットワーク機器、物理回線、閉域接続、インターネット接続、クラウド接続といった物理的な工事が必要な拠点間接続やパブリッククラウドサービスへの閉域接続も、管理画面上での操作により容易に実現できます。また、API(Application Programming Interface)によるアプリケーション同士の連携も可能です。
なお、伝送媒体や通信技術(プロトコル)、接続形態といった構成要素やサービス提供範囲は、事業者ごとに異なります。
NaaSで実現する社会とは
近年のネットワークは、社会課題の解決基盤としての期待がますます高まっています。
例えば、M2M(Machine to Machine)やIoT(Internet of Things)の発展により、人々の仕事や暮らしを変えるサービスが登場しています。生成AIが社会に与えるインパクトも、日に日に増しているでしょう。
こうした動きを受けてNaaSも、社会課題に応じたサービス連携やデータ処理を実現する、柔軟かつ多様なインフラへと進化しています。
また、現実の情報を仮想世界で収集・シミュレートする「デジタルツイン」の活用には、ネットワークが不可欠です。気象・人流・位置・画像などのデータ収集と、それらの現実世界へのフィードバックを行うには、ネットワークによる接続先や帯域の制御が求められます。こうした膨大なシミュレーションデータの送受信も、NaaSは支援します。
NaaSを導入するメリット
従来のネットワークでも、VPNの活用やソフトウェア制御の組み合わせにより、ネットワーク構成を工夫することは可能です。
ただ、ネットワークごとに対応していると、次第に構成が複雑になり、全体制御が難しくなります。より複雑な課題に対応するには、NaaSのような柔軟な考え方が求められるのです。
ここで、NaaSにより実現できることや利用によって変わることなど、ビジネスシーンに与える影響について紹介します。
利用者のニーズに合わせたネットワークの設計
NaaSの最大のメリットは、柔軟にネットワーク構成を変更できることです。複数地域に分散した拠点同士を手軽に連携できますし、構成変更や帯域変更も簡単なため組織の成長に合わせたスケーラブルなネットワークを構成できます。
例えば、地域ごとに利用するデータセンター事業者が異なる場合でも、統一された管理画面でネットワーク全体を管理できます。これにより、管理ツールや問い合わせ窓口を統一でき、管理者の負担を減らせます。
分散処理を容易に実現
NaaSは、データや処理の一極集中を避けるために、地域ごとにデータを保存・処理できます。災害に備えたデータの分散や別拠点でのバックアップにより、リスクを分散できます。また、IoTやAIを活用したエッジコンピューティングも可能です。
NaaSの利用は、IT資産を棚卸しするきっかけにもなります。導入の際には、データセンターとの契約や設置機器、回線の数や帯域、クラウドサービスといった現在のIT環境を見直してみましょう。
NaaSの活用例
NaaSは、小規模な組織から大規模な組織まで、さまざまな場面で活用されています。具体的な活用例について、お伝えします。
小規模環境でのNaaS活用例
簡単で拡張性に優れたNaaSは、初めて本格的なネットワークを構築するような小規模な組織にも適しています。
従業員数が数人から数十人規模の小規模な組織では、予算や人材の不足から将来を見据えたネットワーク構成に困難が伴います。せっかく構築したネットワークが組織の成長に追い付かず、やり直しになることもあるでしょう。
NaaSであれば、法人向けのインターネット接続やクラウドサービスとの閉域接続や将来の拠点間接続などを、ソフトウェア(管理画面)から選ぶだけで構築でき、組織の成長に合わせて構成や速度を容易に変更できます。ネットワークの構成や管理の手間もかからないため、人材が不足しがちな小規模な組織でも安心して利用できます。
また、ネットワーク拡張時に新たに機材を購入する必要がないため、初期費用を抑えられることも、NaaSのメリットです。
大規模環境でのNaaS活用例
従業員数が100人以上の中規模から大規模な組織では、導入時期や担当者の違いから複数の回線やサービスが個別に契約され、思った以上に複雑な接続構成になりがちです。ネットワークが複雑になるほど、全体のコストが見えづらく、管理も煩雑で、セキュリティ対策もしづらくなります。
NaaSは、複数のデータセンターや回線を共通のプラットフォームで管理できることがメリットです。全国のデータセンターやクラウドサービスに対応したNaaSを選択すれば、現在の構成をある程度維持したまま、NaaS上での統合管理が可能です。
どこの拠点から、どれくらいの距離や速度で、どこ(サービス・クラウド・インターネット)と接続しているのかを可視化し、必要に応じて接続形態や帯域を調整できます。無駄なインターネット接続や余計なクラウド接続を統廃合することで、コスト削減にもつながります。
自治体でのNaaSの活用例
多くの地方自治体では、サーバやネットワーク機器を個別に用意し、独自のシステムを構築してきました。こうしたシステムは自治体内のDXや他自治体との連携、民間企業や住民組織といった外部組織と協力したデータ活用を阻害する要因になりえます。
こうした状況にデジタル庁では、「地方公共団体情報システム標準化基本方針」を策定。地方自治体の業務システムは、原則2025年度末までに、ガバメントクラウド上に構築された標準化基準を満たすアプリケーションへの移行が求められています。
ガバメントクラウドへの接続にはさまざまな方法が考えられますが、複数のクラウド事業者との閉域接続を簡単に構成できるNaaSの利用が適しています。
自組織でハードウェアやソフトウェア(OS・ミドルウェア・アプリケーション)サーバを所有せずに済むため、システムを管理する手間やコストを省けます。また、標準化された地方自治体のデータと、NaaSによって接続するほかの自治体や地元IT企業との連携が、地域活性化をさらに促進します。
まとめ
NaaSは、ネットワークの機能を「所有」から「利用」へと転換させる新しい考え方です。
NaaSの導入により、企業は初期コストの抑制や運用の効率化に加え、ビジネスの拡大や変化に合わせて、通信環境を迅速かつ柔軟に最適化しやすくなります。さらに、最新のセキュリティ環境を取り入れやすい点も、大きな利点の一つです。
ITインフラの管理に課題を感じている企業にとって、NaaSは、DX推進を支える有力な選択肢の一つです。自社の状況に合ったサービスを選び、より快適で安全なネットワーク環境の構築につなげて行くことが重要です。
今後も本コラムでは、ネットワークの新しい在り方や活用のヒントを、分かりやすくご紹介していきます。
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